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BMWのキドニーグリルは豚鼻みたいでダサい?その歴史や特徴も解説

もくじ

【結論】賛否両論の巨大キドニーグリル!しかしその裏には深い歴史と機能的な理由があった

「最近のBMWのグリル、豚の鼻みたいでダサい…」そんな辛辣な意見を、インターネットやSNSで見かけたことはありませんか?特に2020年以降に登場した4シリーズやM3/M4、iXなどのモデルに採用された、縦に大きく伸びたキドニーグリルは、世界中の自動車ファンの間で大きな議論を巻き起こしました。この大胆なデザイン変更は、まさにBMWが大きな転換期を迎えていることを象徴しています。

まず結論から述べると、この賛否両論のデザインには、単なる奇抜さだけでなく、90年以上にわたってBMWが培ってきた「キドニーグリルの歴史」への回帰と、現代の車に求められる「機能的な進化」という、2つの明確な理由が存在します。多くの人が抱く「なぜこんなデザインに?」という疑問の裏には、BMWのアイデンティティを未来へどう繋いでいくかという、デザイナーたちの深い思慮と挑戦が隠されているのです。

キドニーグリルは、1933年に誕生して以来、時代ごとのデザイントレンドや技術的な要求に応じて、その形を様々に変化させてきました。それは時に小さく、時に横に広く、そして現代において再び縦に大きくなりました。その変遷は、単なるデザインの歴史ではなく、BMWというブランドがいかにして自らの象徴を守り、育て、そして革新し続けてきたかの物語でもあります。

この記事では、なぜ現代のキドニーグリルが「豚鼻」とまで言われるようになったのか、その理由と世間の評判を分析します。さらに、90年以上にも及ぶキドニーグリルの壮大な歴史を紐解き、現代のグリルが担うデザイン以外の重要な役割についても詳しく解説していきます。読み終える頃には、あのグリルの見方が少し変わっているかもしれません。

なぜ「豚鼻みたいでダサい」と言われるのか?巨大化の理由と世間の評判

BMWのキドニーグリルに対する「豚鼻」「ダサい」といった厳しい評価は、どこから来たのでしょうか。ここでは、そのように揶揄されるに至った背景、BMWが公式に語る巨大化の理由、そして賛否両論渦巻く世間のリアルな評判について解説します。

特に批判の多い縦長グリル採用モデル(4シリーズ、M3/M4など)

キドニーグリルの巨大化は近年のBMW全体の傾向ですが、中でも特に賛否を呼んだのが、2020年に登場したG22型4シリーズクーペで採用された縦長の巨大グリルです。伝統的な横長のグリルに慣れ親しんだファンからは、そのあまりに大胆な変貌ぶりに「豚の鼻のようだ」「BMWらしいエレガントさが失われた」といった否定的な声が噴出しました。このデザインは、その後G80型M3セダンやG82型M4クーペ、EVであるiXにも引き継がれ、BMWのデザイン論争の象徴的な存在となっています。

巨大化した3つの理由:①デザイン哲学の変化 ②冷却性能の要求 ③先進機能(ADAS)の搭載

では、BMWはなぜこれほどまでにグリルを巨大化させたのでしょうか。そこには3つの大きな理由があります。

  1. デザイン哲学の変化:BMWのデザイン部門は「他と見間違えようのない、強い個性」を求めました。特に中国市場などでは、大きく存在感のあるフロントマスクが好まれる傾向があり、グローバルブランドとしてそうした需要に応える狙いがありました。また、過去の名車「328」などが持っていた縦長グリルの伝統を、現代的に再解釈するという意図も含まれています。
  2. 冷却性能の要求:ターボチャージャーなどで高出力化が進む現代のエンジンは、より多くのフレッシュエアを必要とします。巨大な開口部は、高性能なエンジンやブレーキシステムを効率的に冷却するための機能的な要求から生まれた必然的な形でもあるのです。
  3. 先進機能(ADAS)の搭載:現代の車に不可欠な運転支援システム(ADAS)は、ミリ波レーダーや各種センサー、カメラなどを車体前面に搭載する必要があります。巨大なキドニーグリルは、デザインのアイコンであると同時に、これらの精密機器をスマートに内蔵するための「インテリジェンス・パネル」としての役割も担っています。

実際のところ評判は?「見慣れたら格好いい」という肯定的な意見も多数存在

発表当初は否定的な意見が目立った巨大グリルですが、実際に街中で見かける機会が増えるにつれて、その評価は少しずつ変化しています。SNSやオーナーレビューを見ると、「最初は違和感があったが、実車を見たら迫力があって格好いい」「見慣れてくると、これまでのBMWが逆に地味に見える」といった肯定的な意見も数多く見られます。強いインパクトを持つデザインは、時間をかけて受け入れられ、やがて新しい時代の「格好良さ」として定着していくのかもしれません。賛否両論があること自体が、このデザインが人々の心を動かす強烈な個性を持っている証左と言えるでしょう。

【90年以上の歴史】BMWキドニーグリルの起源と歴代デザインの変遷

現代のキドニーグリルが持つ大胆なデザインは、決して突発的に生まれたものではありません。そこには90年以上にわたる長く、そしてドラマチックな変遷の歴史があります。BMWの象徴がどのように生まれ、時代と共にどう変化してきたのかを紐解いていきましょう。

1933年『BMW 303』で初登場した元祖キドニーグリル

すべての始まりは、1933年に発表されたセダン『BMW 303』でした。当時、車のラジエーターグリルは純粋な機能部品であり、デザイン的な意味合いはほとんどありませんでした。しかしBMWのデザイナーは、この303のラジエーターグリルを中央で分割し、上下を丸みを帯びた形状にデザインしました。これが腎臓(Kidney)が2つ並んだように見えたことから「キドニーグリル」と呼ばれるようになり、BMWの象徴が誕生した瞬間です。この縦長のグリルは、当時の車のデザインとしては非常にエレガントで革新的なものでした。

時代を彩った名車たちとキドニーグリルの変遷

BMW 303以降、キドニーグリルはBMWの全モデルに採用されますが、その形状は時代を反映して様々に変化していきます。

  • 縦型から横型へ、そしてスリム化の時代へ:戦後の名車「507」では縦長のデザインは継承されたものの、よりワイドで低い形状へと進化しました。そして1960年代、BMWの経営危機を救った「ノイエ・クラッセ(1500など)」や、世界的ヒット作「2002(マルニ)」の登場により、キドニーグリルは初めて横長のデザインを採用します。これが大成功を収め、以降、長きにわたりBMWの主流デザインとなりました。
  • ワイド&ローが主流となった90年代~2000年代:初代3シリーズ(E21)や、日本で大ヒットしたE30、E46、E90といった歴代3シリーズでは、ヘッドライトとグリルが一体化した、よりワイドで低い横長のデザインが採用され続けました。この時代の「横長のキドニーグリルこそがBMWの顔だ」と記憶しているファンは非常に多いでしょう。グリルは徐々にワイドになり、ボディと一体化したデザインへと洗練されていきました。
  • 再び大型化、そして縦型へ回帰する現代:2010年代に入ると、ブランドの存在感を高めるべくグリルは再び大型化の傾向を強めます。そして2020年の4シリーズ登場で、原点である「縦長グリル」へと大胆に回帰したのです。これは、90年近い時を経て、ブランドのルーツを現代的に再解釈するという、BMWの強い意志の表れでした。

BMWの「顔」としてのアイデンティティの確立

形は変われど、キドニーグリルは常にBMWの「顔」の中心にあり続けました。メルセデス・ベンツのスリーポインテッドスターや、アウディのフォーリングスと同様に、キドニーグリルは一目でBMWとわかる強力なブランドの象徴(アイコン)なのです。その歴史を知ることで、現代のグリルデザインが、単なる思いつきではなく、過去へのリスペクトと未来への挑戦心から生まれたものであることが理解できます。

デザインだけじゃない!現代のキドニーグリルが持つ5つの特徴と機能

物議を醸している現代のキドニーグリルですが、その巨大化は単なるデザイン上の主張だけが理由ではありません。近年の自動車技術の進化に伴い、フロントグリルにはかつてないほど多様で重要な機能が求められるようになっています。ここでは、現代のキドニーグリルが担う5つの役割を解説します。

特徴1:圧倒的な存在感とブランドの象徴

まず最もわかりやすい役割が、ブランドの象徴としての機能です。数多くの自動車メーカーがひしめく現代において、一目でそのブランドだとわかる「顔」を持つことは非常に重要です。BMWはキドニーグリルをより大きく、より大胆にすることで、他社との差別化を図り、BMWとしての圧倒的な存在感とアイデンティティを強烈にアピールしているのです。賛否はあっても、忘れられない顔であることは間違いありません。

特徴2:高性能エンジンのための高い冷却性能

「走り」を追求するBMWにとって、冷却は生命線です。特にMモデルに代表されるハイパフォーマンスカーは、ターボチャージャーの装着などによりエンジンが高出力化しており、膨大な熱を発します。大きくなったグリルは、より多くの走行風をラジエーターやインタークーラーに送り込み、エンジンやブレーキを効率的に冷却するという、極めて重要な役割を担っています。これは、デザインとパフォーマンスを両立させるための機能的な必然なのです。

特徴3:空力性能を向上させる自動開閉機能「アクティブ・エア・ストリーム」

近年の多くのBMWには、「アクティブ・エア・ストリーム」と呼ばれる機能が搭載されています。これは、キドニーグリルの内側に備えられたフラップ(羽根)が、走行状況に応じて自動で開閉する仕組みです。エンジンの冷却が必要な高負荷時にはフラップを開けて空気を取り込み、高速巡航中など冷却が不要な場面ではフラップを閉じて空気抵抗を低減します。これにより、燃費や航続可能距離の向上に貢献しています。

特徴4:運転支援システム(ADAS)のレーダーやセンサーを内蔵

自動ブレーキやアダプティブ・クルーズ・コントロールといった先進運転支援システム(ADAS)は、ミリ波レーダーやカメラ、各種センサーといった電子機器の塊です。これらの機器を車両の前面に、デザインを損なわずに美しく格納する場所として、キドニーグリルは最適なスペースを提供します。現代のグリルは、もはや単なる空気の取り入れ口ではなく、車両の「目」や「耳」となる精密機器を収めるための重要な機能パネルなのです。

特徴5:EV時代に向けた「インテリジェンス・パネル」への進化(iXなど)

電気自動車(EV)の時代になると、グリルの役割はさらに進化します。エンジンを搭載しないEVでは、大規模な冷却は基本的に不要です。そこでBMW iXなどのEVモデルでは、キドニーグリルは完全に塞がれ、「インテリジェンス・パネル」として機能します。そのパネル表面には前述のセンサー類に加え、傷を自己修復するポリウレタンコーティングや、センサーの曇りを防ぐためのヒーター機能などが組み込まれています。もはや「グリル(格子)」ではなく、ハイテク技術が満載された「知能の盾」へと進化を遂げているのです。

今後のキドニーグリルはどうなる?ノイエクラッセに見る未来のデザイン

物議を醸した縦長の巨大グリルですが、そのデザインが未来永劫続くわけではなさそうです。BMWは、ブランドの次世代を象徴するEVコンセプトカー「ヴィジョン・ノイエ・クラッセ」および「ヴィジョン・ノイエ・クラッセX」を発表し、キドニーグリルの新たな未来像を明確に示しました。

新世代EV「ノイエ・クラッセ」で示された新しい解釈

2025年以降に市販モデルが登場予定の「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」は、BMWの新しい時代の幕開けを告げる重要なコンセプトシリーズです。ここで示された未来のキドニーグリルは、現在の縦長デザインから180度方向転換し、往年の「2002」などを彷彿とさせる、エレガントな横長のデザインへと回帰しています。これは、多くのファンが慣れ親しんだ、BMWの伝統的なスポーティさを現代的に再解釈したものと言えるでしょう。

ただし、それは単なる原点回帰ではありません。未来のグリルは、ヘッドライトと一体化したワイドなパネルとなり、その表面はデジタルスクリーンとして機能します。ドライバーが車に近づくと、グリルとヘッドライトが連動して光のアニメーションで出迎えるなど、物理的なデザイン(フィジカル)とデジタル体験(デジタル)が融合した「phygital(フィジタル)」なユーザー体験を提供する、まったく新しいインターフェースへと進化を遂げます。

水平基調のデザインへ?未来のキドニーグリルの姿

ノイエ・クラッセのデザインが示すように、今後のBMWの「顔」は、現在の威圧感を伴う垂直基調から、よりスマートで知的な印象を与える水平基調のデザインが主流になっていくと予想されます。キドニーグリルの形状自体は残しつつも、その内側には様々なグラフィックがデジタルで表示され、EV(電気自動車)ならではの先進性を表現するキャンバスのような役割を担うことになるでしょう。

物議を醸した巨大グリルは、内燃機関からEVへの過渡期における、BMWの力強い自己主張だったのかもしれません。そして、EVが当たり前となる新しい時代に向けて、BMWは再びその「顔」を洗練させ、次の90年を見据えた新たなアイデンティティを構築しようとしています。キドニーグリルの変遷から、これからも目が離せません。

まとめ:キドニーグリルはBMWの挑戦の歴史。その意味を知れば見方が変わる

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今回は、BMWの象徴でありながら、時に「豚鼻」「ダサい」とまで言われるキドニーグリルについて、その歴史的背景から現代的な機能、そして未来の姿までを解説しました。

現代の巨大なキドニーグリルが賛否両論を巻き起こしているのは事実です。しかし、その背景には、90年以上にわたるBMWのデザインの変遷と、自らのアイデンティティを未来へ繋ぐための強い意志が込められています。かつての名車が持っていた縦長デザインへの回帰という「歴史への敬意」と、高性能エンジンの冷却や先進運転支援システム(ADAS)の搭載といった「未来への機能性」を両立させるための、デザイナーたちの挑戦の結晶なのです。

その役割も、単なる空気の取り入れ口から、EV時代においてはセンサーやカメラを内蔵した「インテリジェンス・パネル」へと進化を遂げています。その意味を知ると、単なる見た目の好き嫌いだけでなく、キドニーグリルがBMWの技術と哲学を背負う「機能美」の塊であることが見えてきます。

そして、次世代コンセプト「ノイエ・クラッセ」が示すように、キドニーグリルの挑戦はこれからも続きます。現在の縦長グリルも、いずれは一つの時代の象徴として語られる日が来るのかもしれません。この記事を通して、キドニーグリルが持つ歴史の重みと、未来へ向かうBMWの挑戦心を感じていただけたなら幸いです。次に街でBMWを見かけた時、その「顔」に込められた物語に思いを馳せれば、少し見方が変わるのではないでしょうか。

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